ヨーロッパのコーチから学んだ発想力を育むためのジュニア選手とのコミュニケーション。


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あるイタリア郊外での思い出

『今のは打点が低いんだから無理してあんなところを狙わないほうがいい。』

私は、イタリア、ミラノの郊外にあるテニスクラブで、コーチが13歳のジュニアのネットミスについてアドバイスをしているところをコートサイドから眺めていました。そのジュニアは、ミスを指摘されたことよりもポイントを失った悔しさが顔に現れ、少し苛立った声で、

『でもあそこが空いてるように見えたから自信を持って打った。』

と言い返しました。コーチはその意見を聞いて優しい表情を浮かべ、そしてほんの少しやれやれという感じで首を横に振りました。そして次のポイントに向けて選手に手を叩いてハッパをかけて見守りました。

『それはやっちゃいけない!』
『ここではこういうプレイをすべきだ!』

こういうセリフを選手に言うと日本の選手はなんと答えるでしょう。

『はい。』

ほとんどがそう返事をします。そう返事をすることを教えられているからです。しかし海外の選手はこう言う時に必ず自分の意見を言います。

『でも私にはこう言う理由があったからそうしたの。』

そしてコーチはそれ以上は何も言わなし、特に言い返すこともありません。

コーチは自分の意見を言う。
選手も自分の意見を言う。

それで終わりです。

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強制力が働く日本

対して日本のアドバイスの仕方、そしてそのアドバイスの受け入れ方は、明らかに強制力が働いているように感じませんか?

このイタリアの例だけでなくヨーロッパではこのような状況をよく見ます。横で聞いていても、子供たちの反論内容は幼稚で理にかなっているものは、ほとんどありません。でも大人であるコーチは、頭ごなしに押さえつけるように論破することはありません。優しく諭すように同じアドバイスを繰り返すか、子供たちの意見に頷いて終わりです。

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自由に発想することの芽を摘まない。

この差はのちのち大きな差を生みます。返事は『はい。』だけだと、考えることをやめてしまいます。内容は幼稚でも反論しても良い、自分の意見を主張しても良いという空気感は、自ら考えるということを肯定し、発想の芽を摘みません。ですが、反論の余地を与えない空気感は、考える芽を摘んでしまいます。そして何より楽しくないと続けられません。

テニスはスポーツです。自らのイメージを自由に表現できるという楽しさがあります。そのためには、自発的にイメージを作り出す自由な発想が必要です。ああしたい、こうしたいという楽しい選択肢が、何歳になっても頭の中に湧き出てくるようにしてあげたい。ヨーロッパで見た指導者の優しい包み込むような態度にそんなことを考えました。

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でも。。。

一生懸命ファイトして練習しない選手は、日本同様しっかり怒られます。それは万国共通です。スペインでは罰ランも普通にあります。

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